私が一貫して申し上げたいことは、投資でリターンを出すのにもっとも重要なことは、その投資信託のコストとかパフォーマンスではなく、投資家のみなさんがいかに長期で続られるかどうかになります。
しかし、頭では理解をしようとしても、命の次に大切なお金が毎日上下に数十万、数百万と変動するわけであり、感情が右に左に揺れ動くのは自然なことだと思います。また、いろいろな情報(ノイズ)が否応なく耳に入ってくるので、そのノイズの影響をどうしても受けてしまいます。
「ブラック・スワン」著者のニコラス・タレブはいつも通っているスポーツジムでヘッドフォンでお気に入りの音楽を聞き、ランニングマシーンで走りながら、付いているテレビで経済番組を見ているそうです。なぜそうしているかというと、その経済番組や出て来るコメンテーターの発するノイズに影響されないようにする訓練だそうです。
日米の保有投資信託ランキングの違い
図1は日米の規模の大きい投資信託の過去10年間の比較になります。米国は10年前にも上位10位に入っていたものが10本中6本あり、5年前では8本、一方日本は10年前から入っているものは2本、5年前でも3本しかありません。これは言い換えると、アメリカ人は米国経済の今後の持続的な成長を信じており、そこに自分のお金を長期的に託している姿勢が変わらず続いている一方、日本の投資家はコアとなる先進国の株式などではなく、サテライト的な米国・海外リートが上位に多く入っており、短期的に目先の分配金などを取りに行っているのが見て取れます。
図1:規模の大きい投資信託の日米比較
3つのポケットに分ける
私が代表を務める会社では、長期投資をする上では資産を3つに分けましょう、とお客様にアドバイスをしています。
① コアポケット:
10年は使わないお金に関しては、図1の米国の純資産トップ10にあるような、先進国株、先進国債券などコアの資産クラスに投資をして、じっくりと増やしていく。
② インカムポケット:
また少しお小遣いが欲しいという方にはインカムポケットを作っていただき、ここはリートや高配当など、インカムが出る投資信託をお持ち頂き、そこからの配当で旅行やゴルフなどに行っていただく。
③ サテライトポケット:
最後にサテライトですが、これは短期的な値上がりが期待できそうな株の売買や応援したい会社の株を買う。
図2:3つのポケット
この3つのポケットの中でも一番比率が大きくなるポケットはコアの資産クラスです。このコアの資産クラスをいかにより長期で持てるかが、みなさんの全体資産の運用成果を決める大きな要因になります。
6兆円の資産を投資で築いたウォーレン・バフェットは以下のように言っています。
「喜んで10年間持ち続ける気持ちがないなら、たった10分間でも株を持とうとすべきではない。」
これは投資信託選びでも同じだと思います。やはりコアの投資信託については10年間は喜んで持ち続けていただきたいです。ただ、これも言うは易く行うは難しです。
そこで、短期的な欲求も満たすために、3つのポケットを使い分ける方法をオススメします。「少しお小遣いが欲しい」という欲求にはインカムポケット、「短期的な売買もしてみたい」という欲求に対してはサテライトのポケットを使い、それによって一番メインのコアポケットを長期的に持つことができるのです。
これまで10,000件以上の相談をIFA法人GAIAでは受けてきましたが、個人投資家の投資に対する考え方はまさに十人十色です。しかし、大きく分けると投資家のニーズというのはこの3つに分かれており、この3つのポケットの配分をどう使い分けるかが肝になります。逆にうまく使い分けていなかったり、短期的な利益ばかりを追い求める傾向があると、途中で挫折している方が多いように思います。
3つのポケットの使い方について不安がある方は、ぜひアドバイザーに相談することをオススメします。
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