相場が大幅下落!その時私たちがしていること
入 倉 今回のテーマは「下落相場」です。足元の相場を鑑みると(※2020/3/18収録)タイムリーな話題だと思います。今回このテーマで話していただきたいことは、こういった下落相場の時に自身がIFA(※IndependentFinancialAdviser)としての立場で、お客さまにしていること、心掛けていること、あるいは気を付けていることについてお伺いしたい思います。
宮 原 私は証券会社勤務時代にリーマンショックを経験しました。大変な状況でしたので、その時の経験を踏まえて話します。まずは、「一貫したことをちゃんと伝える」と言うことです。言っていることが、相場の変化により、変わってくると、そこがお客さまの不信に繋がると考えています。これは下落している時に関わらず、上昇していても同じだと思います。あとは、「事実を伝えること」ですね。起きていることをなるべく、事実ベースで伝えています。それをどのように受け止めるかはお客さま次第ですが、私の説明で納得して安心される方もいらっしゃいますし、「そうは言ってもやっぱり心配」とおっしゃる方も、もちろんいらっしゃいます。
写真=プライベート・ファイナンシャルプランナー|宮原 秀人
不安になっているお客さまの気持ちにできる限り理解を示すこと、寄り添うことをしなければいけないと思います。ただし、寄り添うと言っても「そうですよね~」って言っているだけではいけません。いかに安心していただくかがポイントになると考えています。「不安な気持ちを発散して安心する」方もいらっしゃいますし、「『心配していない』と言っていても実は不安が解消されていない」方もいらっしゃいます。その場合には、我々に対し何かしら求めるものがあると思います。お客さまの感情をできるだけ汲み取り、事実をお伝えしていきます。下落相場は、将来どこかで必ず戻ると私は考えているので、お客さまにもそう思ってもらえるように説明をすることを心掛けてやっています。
入 倉 お客さまに寄り添い、一貫したこと、事実に基づいたことを伝えるということですね。
宮 原 はい。そのようなイメージです。下落相場の時は、今持っているものはどうなっているのだろう?今後どうなっていくのだろう?と心配される方が多いです。事実を踏まえた上で現状を説明し、またその後にお伝えする内容も基本の方針はブレていないものにしています。
入 倉 新屋さんはいかがでしょうか。
新 屋 私は2つあります。1つ目は、「戻りも伝える」ことです。下落局面の経験が多ければ、時間の経過と共に戻る経験もおのずと多くなるはずです。下落時にパニックにならず運用を継続できていれば、私は戻っている局面もちゃんと伝えていくことも、大事な仕事と考えています。もう1つは宮原さんと同じで、「お客さまに寄り添う」ことです。運用の世界に長くいると、相場変動に慣れてしまう面もあります。その慣れとお客さまの気持ちが乖離しないように心掛けています。私達は何回も下落局面を経験していても、お客さまにとっては初めてだったりすることもあります。情報についても私達は毎日会社に来て、運用会社の方やいろいろな専門家の方々と話すことで情報を収集しています。一方で、お客さまの中には、メディアの不安を煽る報道や記事などで不安のみを抱えている方もいらっしゃいます。私達が大丈夫だと思っていても、お客さまがも同じ気持ちとは言えません。例えば、電話した時の声の感じや、お話しされる内容や、どうお考えになっているのかを特に気をつけています。
入 倉 ありがとうございます。鈴木さんはいかがですか。
鈴 木 「今はこういう状況になっていますよ」ということを伝えることはもちろんですが、心掛けてることは「運用の目的を思い出していただくこと」です。「お客さまはこういうことを考えていて、そのためにこの運用をしていましたね」と不安に思っているお客さまにお伝えすることで、足元の目線を高くしていただけるように伝えようと思っています。お客さまの気持ちを考えて伝えると、伝え方も変わってくると思います。
入 倉 目的を思い出してもらうように話をした、具体的なエピソードはありますか。
鈴 木 あるお客さまは、現在の運用はあらかじめ「10年先のリタイア後の生活で、夫婦の楽しみのための運用」と、資産の目的を一緒に決めさせていいただきました。目的がはっきりした運用であれば、相場の下落により一時的に資産価値が下がっても、いつまで運用するのかを改めて思い出すことができます。そして、今の状況で何をするべきかあるいはしないかを冷静に判断することができました。
宮 原 目線を上げることは重要なことですよね。表現が難しいですが、歩いていく方向は把握していても、どこにデコボコがあるか、水たまりがあるかは分からないですよね。
新 屋 そうですね。経験を通して慣れるものだと思います。ナビゲートする立場で、「何かあっても、ちゃんと戻っていきますよ」と伝えることは大切ですね。
リスクと付き合う
新 屋 あるお客さまのお話ですが、チャイナショックの時(※2015年)の下落が、ご自身の許容度を超えてしまったため、耐えられないと言って投資をやめた方がいらっしゃいました。あの時やめずに持っておいてもらえればそのあと戻ってきてマイナスになることはなかったということがありました。
宮 原 やめてしまうパターンは、「過剰に投資をしてしまっていたケース」と、「リスク許容度の低い方がリスクの高い運用をしてしまったために耐えきれないケース」が多いと思います。また運用期間が長くなると、投資金額が増えていってしまい、許容度を越えてしまったというケースがあります。
入 倉 「過剰に投資をしてしまう」というのは?
宮 原 お客さまと話をしてプランニングをして、「これだけの金額なら運用に回せそうですね」という上限の金額があったとします。計算で出てきた金額ですので、実際にはこれは耐えられる金額じゃないというケースがあります。お客さまと合意を取って運用を始めたが、実は気持ちの面では許容範囲を超えていたかもしれないということが数年後に分かるというケースはあります。気持ちと乖離していく話と同じですね。
新 屋 投資経験の浅い方ほど、上昇相場時にどんどん追加投資をして、結果的に投資額が増えるということはあります。気をつけないと、プラスリターンの時には気になりませんが、下がった時に「え!!」となってしまうことがあります。開始時期によっては、お客さまが「簡単に増える」というイメージを持ってしまうケースもあるので、注意しないといけません。他にはお客さまがGAIAに来る前にどれくらい投資経験があるのかということと、どのようなものに投資をしていたのか、については必ず確認するようにしています。
写真=プライベート・ファイナンシャルプランナー|新屋 真摘
宮 原 運用可能額を全部運用していると、相場が下がっているときは、ずっと見ているしかないです。限度額全部ではなくて、余裕を持っていると、運用しているものが下がっても、「今投資をするのは怖いけど、待機資金があるから、余裕を持って運用を続けられる」と思います。運用できるお金があるから、といって積み上げていってしまうと、大変なことになるケースがあると思います。
新 屋 いかに運用を続けられるかということが大事ですよね。
相場下落事に多いこんな人
入 倉 ありがとうございます。続いて、相場下落時にお客さまからいろいろな声があると思いますが、共有していただきたいなと思います。
写真=プライベート・ファイナンシャルプランナー|入倉 彰啓
鈴 木 ご自身で運用をしている方で、GAIAにも運用を任せたいという考えの方ですと、下落時はチャンスだ!とおっしゃっている方がいらっしゃいました。
新 屋 下がってくると(投資信託やETF等の)コストが気になると言う方がいらっしゃいますね。下がってしまっているのにコストが掛かることについて不満の声があります。そういう時は、払っていただいているコストが何に使われているかというのを再度伝えないといけないと思います。
宮 原 2月は市場に多くの投資資金が流入したという報道がありましたが、最初の下落の際は強気な投資家が多くて、下がったから買い場だと考える投資家が多いです。しかし、さらに下落の幅が大きくなってくると、だんだんその声は小さくなっていきます。下落相場によくあることだと思います。
新 屋 目線を上げるというのは凄くいいアドバイスだと思います。
鈴 木 そうですね。運用歴が無い方は、説明させていただいても不安がなくならず、投資の状況を気になり続ける方は多いです。定期的に状況をお話することで少しでも不安を払拭していただきたいと思っています。
新 屋 結果的に続けた人が成果を手に入れると思いますので、私達はそれをサポートするのが仕事だと思います。
入 倉 ありがとうございました。私は、下落相場はある意味チャンスだと思っています。最初の面談時にはない本音を聞くことができるからです。最初は下がっても大丈夫だと言っていても、実は大丈夫じゃなかったですねという話になったりします。本音トークの第一歩になったりします。皆さんにとっては下落相場はどのようなものですか。
鈴 木 「長期投資をする上で避けられないもの」ですね。タイミングを見て投資をするなら下で買って上で売ればいいですが、長期投資をするなら続けることが大切だと考えます。やはり避けては通れないものですね。
新 屋 「性格がわかるもの」ですね。
宮 原 「アドバイザーが試される局面」だと思います。リーマンショックのときはアドバイザー自身が耐えられなくなって逃げてしまうようなことがありました。その責任に耐えられないとお客さまは離れてしまうと思います。大切なお金が関わっているからです。
入 倉 今回はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
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