世界的にみても貯蓄家として知られる日本人ですが、総務省「全国消費実態調査(2014年)」によると、2人以上の世帯の貯蓄平均値は1,565万円となっています。退職金などを手にした60代の資産が他の世代より多いという特徴はありますが、若い世代よりシニア層につれて貯蓄額が上昇するのは、それほど驚きではないでしょう。
一方、生活習慣や風土が異なる都道府県の間では、貯蓄額に大きな差が現れました。その気になるランキングと、背景をみていきましょう。
地方都市もトップ10に
まずは貯蓄額の多い都道府県トップ10のランキングです。
10位 富山県 1,717万円
9位 三重県 1,720万円
8位 千葉県 1,747万円
7位 和歌山県 1,762万円
6位 奈良県 1,784万円
5位 香川県 1,821万円
4位 愛知県 1,855万円
3位 福井県 1,856万円
2位 神奈川県 1,903万円
1位 東京都 1,966万円
トップとなったのは東京都で、その貯蓄額が全国平均を400万円ほど上回る結果となりました。生活費も高い東京ですが、稼ぎがよいのも事実です。厚生労働省の統計によると、事業規模5人以上の都道府県別の給与では、全国平均が31万3,800円に対し、東京都は全国で唯一40万円の水準を上回る40万6,800円となりました。
一方、下位に目を向けると、ワースト5のランキングは次の通りです。
43位 長崎県 1,017万円
44位 宮崎県 1,013万円
45位 鹿児島県 947万円
46位 青森県 862万円
47位 沖縄県 574万円
45位の鹿児島県からは平均貯蓄額が1,000万円を割り切り、最下位の沖縄県は、トップの東京都と1,400万円以上の開きがあります。沖縄県は前述の給与の統計では、全国でも最も低い24万1,200円です。青森県は25万1,100円、鹿児島県25万5,000円と全国平均を大きく下回っており、収入と貯蓄額に相関性をみることができます。
北陸の貯蓄額が多いのはなぜ?
一方、収入と貯蓄額との相関性では説明できない例もあります。貯蓄額トップ10に名を連ねた福井県、富山県の平均給与はそれぞれ、30万5,600円、30万3,500円と、全国平均を下回っているにも関わらず、平均貯蓄額では堂々のトップ10入りとなっています。
東京、神奈川に次いでトップ3に入った福井県は、共働き率が高いことで知られています。県内の女性の就業率は全国平均47.1%を上回る53.1%で、さらに製造業など雇用の受け皿がしっかりとしており、パートや派遣ではなく正規職員や従業員の割合が高いのも特徴です。
女性の就業の後押しともなるのが、待機児童数ゼロ、さらには全国平均よりも高い3世代の同居率です。育児と仕事の両立が可能な環境が、女性の社会進出を後押しし、貯蓄額アップにも貢献しているといえるでしょう。
職場や住居の環境のほかにも、消費行動に代表される県民性も貯蓄に影響を及ぼしている部分もあります。生活費の中で大きなウェイトを占める食費ですが、外食の割合が増えれば、家計への負担もそれに比例します。全国消費実態調査(2014年)では、食料に占める外食の割合は、東京都が最も高く22.0%で、全国平均は17.6%でした。
しかし、福井、富山両県は全国平均を下回る15%未満と、外食を控えることで食費を抑えて家計を管理している姿が浮かび上がります。一方で、消費欲をみせるのが自動車です。都市部では若者の車離れが進む中、福井と富山、山形の3県だけが、1世帯当たり平均2台以上の自動車を保有しています。住宅、保険に続き大きな買い物となる自動車の購入に向けて、外食を控え、共働きで稼いだお金をコツコツと貯めた結果、貯蓄額のアップにつながる傾向にあります。
給与によって差が生じる部分と、給与が全国平均を下回る北陸の県のように、女性の就労や、マイカーの購入に向けて外食を控えるなどの消費行動で堅実に貯蓄額を増やしているケースもあります。貯蓄家とみられる日本人といっても、都道府県によってその貯蓄額に大きな差があるようです。
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