「平成27年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)によると、投資信託を選ぶ際には、リスクの低さや安定性と答えた人が62.7%と最も多く、成長性や収益性の高さと答えた人が51.9%、分配金の頻度や運用実績を答えた人が42.5%となっています。投資信託を選ぶ際には安定性、収益性と成長性をだけではなく、分配金について注目をしている人が多いと言う結果でした。
投資信託を選ぶ際にはさまざまなポイントがありますが、分配金に偏重して後から損をして困ることがないように、見直しをする時のポイントについて考えてみましょう。
分配金が下がる理由とは?
昨年、分配金の高さから個人投資家に根強い人気があった投資信託が、約4年半ぶりに「分配金を30円減らして70円にする」と、分配金の引き下げを発表したことが話題になりました。投資信託の分配金はまれに引き下げの発表が行われることがあります。運用収益を上回る分配金の支払いが行われ、基準価格が下がって分配原資が細ってしまうため、原資を減らしすぎないようにするために分配金の引き下げが行われるのです。
投資信託の分配金は受け取り方が二種類あり、分配金再投資コースと分配金受け取りコースに分かれます。分配金再投資コースを選ぶと、分配金が出る時には元本に組み込まれ、元本が増える仕組みになっています。一方で、分配金受け取りコースの場合は、分配金が払い出されます。
分配金は、普通分配金と元本払戻金に分かれます。普通分配金が出る時にはその分税金が差し引かれますし、元本払戻金が出る場合は個別元本が減ってしまい、売却時に利益が出て税金がかかることもあります。そのため、分配金は毎月支払われずにその分を再投資にまわせる「再投資型」と比べると、収益性は低いといわれています。
実は「再投資型」も、「毎月分配型」と同様、元本払戻金を除いて一度受け取った分配金に対しては税金が差し引かれます。その税金が差し引かれた残りの手取り分を、自動的に再投資にまわす仕組みです。このようにして、投資金額そのものを徐々に増やしていけば、複利の効果で収益性は高くなるのです。税金面を考えると、分配金が支払われる回数が少ない投資信託の方が長期保有向きといえます。
一方、あらかじめ保有できる期間が短いことが決まっているなど、長期投資ができない理由がある場合は、毎月分配型投信も選択肢の1つです。定期的な収入が少なくなった老後などに、資産を運用しながら分配金を受け取りたい場合や、預貯金が趣味でお金が増えていることを実感したい人にも向いています。
毎月分配型の投資信託を選ぶのは、収益面からみると損をする可能性もありますが、保有期間と収益性、投資する人の性格によっては、向いているケースもあるということです。
分配金が減ったら、見直しのタイミング?
投資信託を保有する楽しみは、分配金など目に見える収益や基準価格が上がることです。しかし、運用成績や分配金がいつも安定しているわけではありません。理由はマーケットの影響やファンドマネージャーによる運用の失敗などさまざまですが、このまま保有するのが良いのか、解約するのが良いのかはどのように判断するとよいのでしょうか。
見直しのタイミングの1つとして、基準価額や分配金の金額の変動をみて判断する方法があります。
投資信託の「基準価額」は、株式でいう「株価」に相当します。株価同様、基準価額も上がったり下がったりします。運用状況は運用報告書で確認できるので、基準価額や純資産残高の推移、今後の運用方針などを定期的に確認するといいでしょう。
分配金が減ったときも、見直しのタイミングの一つと言えるでしょう。分配金は、投資した株式や債券などさまざまな資産の配当や利子(インカムゲイン)と、投資した株式や債券自体の価格が値上がりして得られるキャピタルゲイン、過去の利益から繰り越されてきた利益を加えた分配原資のなかから、投資信託の決算日に分配金が支払われる仕組みになっています。
基本的には分配金は運用成果の一部を受け取るものですが、投資先から得られるインカムゲインを超えた分配金を支払っている投資信託もあります。このような場合、分配金の支払いが減り続けるのなら、投資信託の見直しを検討したほうがいいでしょう。分配金を支払う健全性と、分配金を支払う原資があるのか、運用報告書などで確認することが必要です。
投資信託の見直しは、信頼できるアドバイザーに
投資信託を含め金融商品は、世界的にインパクトのある出来事が起こると、一時的にマーケットが混乱することがあります。このようなときは慌てずに状況を見守るか、信頼できるアドバイザーに相談しましょう。
基本的に資産運用は長期の運用に堪えられるように組み、一貫して方針を変えないことが大切です。長期の運用に堪えられる資産運用のアドバイスを求めているなら、GAIAのファイナンシャル・アドバイザーにお気軽にご相談ください。
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