日本国内に持ち家がある人が海外赴任・駐在が決まったとき、持ち家の管理はどうしようと悩む方は多いです。現実的な方法としては空き家・売却という方法がありますが、「賃貸に出す」という選択肢もあり、自宅を良い状態に保つことができる方法の1つと言えます。
賃貸に出す場合は、定期的な家賃収入が得られるだけでなく、空き家にすることで経年劣化が早まるのを避けることができます。しかし持ち家を賃貸に出すこと自体に不安を感じている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、海外赴任に伴い日本の持ち家を賃貸に出すことのメリット・デメリットや注意点、賃貸以外の選択肢についても詳しく解説していきます。
目次
海外駐在が決まった場合の持ち家の処遇
旅行で短期間だけ海外に行くのではなく、海外赴任・駐在という形で、長期間海外で生活をすることがあります。日本に持ち家がある方にとって海外赴任・駐在が決まった時の問題点は「海外で暮らす家をどうするか」ではなく「日本にある持ち家をどうするか」です。
そのまま空き家にしたり、長期間での海外生活となった場合は、売却も視野に入れる方も多いでしょう。しかし、賃貸住宅として持ち家を貸し出すという選択肢もあります。
持ち家を賃貸に出すメリット・デメリット
持ち家を賃貸に出すことは「知らない他人に家を貸す」ため、抵抗を感じる方も少なくありません。そこで次に、日本国内の持ち家を賃貸に出した場合のメリット・デメリットを解説していきます。
賃貸にするメリット
日本国内の持ち家を賃貸に出すメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- ・海外にいながら家賃収入を得られる
- ・住宅の経年劣化を避けられる
海外にいながら家賃収入を得られる
持ち家を賃貸に出すことで家賃収入が発生し、税金などの諸経費を差し引いた金額がそのまま貸主の収益となります。
例えば1ヶ月の家賃が10万円の場合、年間合計で120万円から税金などの諸経費を差し引いた分の収入が得られます。さらに海外赴任・駐在期間が2年など短期の場合は、契約期間が固定である「定期借家契約」を結ぶことで帰国後も同じ家に住むことができます。
持ち家を賃貸に出すことで、資産価値の高い住宅や土地を手放さずに済むのです。
住宅の経年劣化を避けられる
持ち家を空き家にせず賃貸住宅として貸し出すことで、住宅の経年劣化を防ぐこともできます。
海外赴任中は、空き家にしていると自宅を管理する人がいないため、掃除や換気・通気が全く行われません。
庭がある住宅なら雑草が生えても放置されるため、害虫が湧きやすくなります。結果的にカビが大量発生したり壁や床の虫食い、水道管など水回り設備の腐食・劣化等が進行して、自宅の経年劣化が早まってしまいます。しかし賃貸に出している期間は、住人が自宅の管理人となるため「管理されていない」ことによる経年劣化を防げます。
賃貸にするデメリット
日本国内の持ち家を賃貸に出すデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- ・住宅を汚されたり破損される可能性がある
- ・トラブルが起きてもすぐに現状を把握できない
住宅を汚されたり破損される可能性がある
持ち家を賃貸に出すことは、第三者に「家を任せる」ことでもあります。
そのため住人によって壁や床を汚されたり、設備等を壊される可能性があります。さらには火の不始末により火災が発生して自宅が全焼するなど、重大な賠償責任を伴う事故が発生する可能性もゼロではありません。軽微なトラブルでも、損害を修繕する費用の大部分を貸主が負うリスクがあります。
トラブルが起きてもすぐに現状を把握できない
海外赴任・駐在中は、持ち家に何か問題が発生したり住人とのトラブルが発生しても、すぐに現状を把握できません。
管理会社に管理を一任している場合でも、管理会社が全ての有事・トラブルに即時対応できるわけではありません。住人が家賃を支払わなくなったり重要な設備を壊してしまった場合は、管理会社から貸主に直接連絡が来ることがありますが、海外にいると緊急事態が発生しても、すぐに自宅へ戻り現状を把握することが難しくなります。
持ち家を賃貸に出すときの注意点
日本国内の持ち家を賃貸に出すことには、メリット・デメリットの両方がありますが、いくつかの注意点を押さえておくことで、デメリット部分を可能な限り減らすことができます。
そこで次は持ち家を賃貸に出すときの2つの注意点について、それぞれ解説していきます。
- ・信頼できる管理会社を選ぶ
- ・貸主が負担する費用について確認する
信頼できる管理会社を選ぶ
海外赴任・駐在で持ち家を賃貸に出す場合は、一定の料金を支払い管理会社に自宅の管理を一任する「リロケーション」がおすすめです。ただし信頼できる管理会社を選ばないと金銭的なトラブルが発生したり、住民がトラブルを発生させても迅速に対応してくれない可能性があります。
過去の事例としては、喫煙者であった借主が壁や床などを汚損させたまま家賃を払わずに夜逃げしてしまったというケースがありました。本来は借主だけでなく管理会社も損害を補償するべきですが、契約書上では管理会社が費用を負担しない旨が記載されていたため、貸主は数百万円に及ぶ自己負担で汚損された部分の修繕を余儀なくされました。
このような事態を避けるために、以下のようなポイントで複数の管理会社を比較考慮する必要があります。
- ・リロケーション実績・業績はどれくらいか
- ・初回相談時にサービス内容や契約に関して事細かく説明してくれるか
- ・リロケーション担当者は対応が早く信頼できる人か
- ・料金体系は高額すぎ(または安すぎ)ないか
信頼できる業者か見分ける際に特に重要なのは、経営年数・担当件数などの実績と対応の早さ・誠実さです。大手のリロケーション会社は公式ウェブサイト上で、明確な数字と根拠を用いて実績公表しているため参考にできます。
また担当者の対応も重要な判断基準です。賃貸やリロケーションに関する専門的・法的な知識があり、こちらが行う契約内容や費用等の質問に関して淀みなく回答できる担当者は一定の信頼がおけます。
貸主が負担する費用について確認する
持ち家を賃貸に出すことで、貸主は一定期間家賃収入を得られますが、貸主が負担する「経費」によっては実質的な収入が目減りしやすいことも押さえておきましょう。場合によっては、収益がマイナスになる可能性もあります。安定した家賃収入を得たいならば、貸主と借主双方の負担割合を決めておくなど貸主の負担が大きくなりすぎないよう、住人や管理会社と決めておく事前準備が欠かせません。
基本的に賃貸契約では借主が原状回復義務を負うため、借主が原因で壁や床が汚れたり、設備が破損した場合などは借主が修繕費用を負担するべきです。それに対して通常利用で劣化・破損しても借主側に原因がない設備や、備品の劣化に関する修繕費用は貸主が負担するのが普通です。
このような「借主と貸主がそれぞれ何を負担するか」に関しては、契約書に明確に記載しておくことでトラブルを避けられます。万が一借主が夜逃げしてしまった場合でも契約書という法的根拠があるため民事訴訟による裁判で有利に働き、修繕費用を幾らかでも回収できる可能性が高まります。
賃貸に出す以外の選択肢
海外赴任・駐在時の持ち家の管理方法として、賃貸ではなく売却や空き家管理を利用する方も多いです。それらの選択肢にはどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。
売却する
持ち家を誰かに売却することで、まとまったお金を得られます。賃貸のように月数万円の収入ではなく、持ち家の資産価値に応じた相応の売却金が得られるため、海外で新居の購入を検討している方は購入費用に充当することが可能です。
また持ち家を売却してしまえば管理する必要がなくなるため、海外赴任・駐在が長期化しても日本に残してきた自宅を心配せずに生活できます。
ただし持ち家は、住宅ローンを残した状態では売却できません。住宅ローンを契約する際は「抵当権」という担保が付帯されますが、抵当権は住宅ローンを完済しなければ抹消できません。売却額で住宅ローンの残債を賄えるなら良いですが、売却額が残債に満たない場合は任意売却、最終手段として競売といった手段を選ぶことになります。
持ち家の売却は買主が見つかるまで数ヶ月から数年を要することも珍しくないため、海外赴任・駐在を理由に持ち家の安易な売却を行うことはおすすめしません。
空き家として管理してもらう
家賃収入は必要ない、他人に持ち家を貸したくないと考えている方は専門の管理会社が提供する、空き家を管理してくれるサービスを利用することも有力な選択肢です。
基本的には1ヶ月あたり1~2万円を支払うだけで自宅の通気や換気、通水や雨漏り点検等を行ってくれます。低コストで自宅の経年劣化を避けられるため、単に空き家として放置しておくよりもおすすめです。
ただし空き家管理サービスは、基本料金の他にオプション費用が設定されていることが多く、以下のようなサービスを追加すると月々の料金が数千円から数万円ほどプラスされます。
- ・窓や床の拭き掃除
- ・エアコンの清掃
- ・害虫の駆除
- ・ゴミの処分
- ・郵便物の転送
- ・ハウスクリーニング
このような普段住人が行っている作業を全て任せようとすると高額になります。空き家管理サービスの利用を考えている方は事前に予算を決め、予定している海外赴任・駐在の期間中にどれだけ費用が発生するか試算しておきましょう。
まとめ
この記事では海外赴任時に持ち家をどうするべきか、選択できる方法それぞれのメリット・デメリットも含めて紹介してきました。
家は大きな資産だからこそ海外赴任・駐在が決まると持ち家をどうするのか多くの方が悩みます。大きな資産の運用・管理を自分だけで決めることも容易ではありません。持ち家の処遇に関して悩んでいる方は、お金の専門家に相談することをおすすめします。
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GAIAについて
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