日本は世界有数の低金利高税率の国です。富裕層の多くは海外投資に目を向ける中、海外投資に対する日本の税制については認識しておく必要があります。
海外投資に対しても甘くない日本の税制
債券や株の運用益や譲渡益に対する税金は所得税になります。所得税の課税方式には、居住地国課税と源泉国課税の2つのタイプがあります。居住地国課税は所得を得た人が住む国を基準としてかける課税方式です。源泉国課税は所得を得た国を基準として課税する方式です。
日本では、日本の居住者には居住地国課税方式を適用しています。日本に居住する人はたとえ海外投資で得た所得であっても日本で所得税を払う義務があるのです。
国税ではありませんが住民税もこの課税方式を自治体単位に応用して所得に応じて居住する自治体に納税します。海外投資で得た所得でも所得税が課税されていれば住民税にも反映されます。
これに対して、日本に居住する外国人に対しては源泉地国課税方式を適用します。たとえ外国人であっても、日本で所得を得た場合には所得税を納めなければなりません。居住する自治体には所得に見合う住民税を払わなければなりません。このような二つの課税方式を組み合わせる方法は、日本だけではなく先進諸国の一般的な方法です。
国外財産調書制度のあらまし
その年の12月31日現在の残高が5000万円以上になる、国外財産を持つ人は国外財産調書を所轄の税務署に提出しなければなりません。
記載の範囲は、国外保有する資産すべてです。たとえ日本法人の株式でも外国口座に保有していれば国外財産調書に記載する必要があります。提出期日は翌年の3月15日です。計算期日も提出期日も確定申告と同日になりますから、確定申告の添付書類と考えていいでしょう。海外資産の価値を計算する基準は12月31日現在の時価または見積価額、円換算レートは12月31日のレートを適用します。
2014年3月15日以降、確定申告に記載漏れや過少申告が発覚した場合でも期限内に国外財産調書を提出した場合には過少申告加算税が5%減額されるようになりました。
逆に、確定申告で申告漏れや過少申告が発覚して国外財産調書を提出していない時には、過少申告加算税が5%加算されます。また2015年1月1日以後、国外財産調書不提出または虚偽の申告をした場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるようになりました。
ただし、国外財産調書に記載した財産は、年間の所得額が2,000万円以上ある人が提出する「財産及び債務の明細書」に記載する必要はありません。
国際的税金ネットワークと控除制度
日本人が外国投資をする場合、日本では日本の税率で、投資先の国ではその国の税率で二重に所得税を課税されることがあります。このような二重課税を防止するために外国税額控除制度が有ります。もし海外で課税された場合には日本の税率から海外でかけられた税率を控除する制度です。
日本で20.315%課税されるべき所得に、既に海外で10%源泉徴収されている場合、日本の所得税は海外の源泉徴収分を控除した10.315%のみ課税されます。諸外国でも同じような制度を採用して国際的に二重課税を防止しています。
国際間で移住課税を防止するために、海外での納税状況を確認したり海外で納税が免除されるようにしたりと、国際間で便宜を図っているのです。現在日本は、世界の80カ国と租税条約を締結しています。日本の税務当局は租税条約、国外財産調書、国外送金調書などをデータとして非常に広大で緻密な税務情報ネットワークを構築しているのです。
オフショアとはどのようなものか?
オフショアとは、外国人に対して所得税や相続税が非常に軽微または無税の地域、または市場のことです。オフショア特区として運営する場合と、国そのものがオフショア金融制を敷く場合もあります。
これらの地域では、富裕層や企業の財務部門などを呼び込むために、通信システム、交通の利便性を確保して住環境も整えています。金融システムが非常に発達しており口座管理から金融商品の種類に至るまで非常に信頼性が高いのが特徴です。
日本人がよく知るオフショア国にはスイス、シンガポール、モナコなどが有ります。オフショア地域で得た所得は、所得者が日本の居住者か、実質的に日本人が経営する法人であれば、タックス・ヘイブン対策税制が適用され日本の所得税、法人税が課せられます。
節税に向けてできる事
日本ではたとえ海外投資でも所得税を回避できません。しかし、これはあくまで日本の「居住者」に対する課税です。「非居住者、または非永住者」の立場になれば、源泉課税方式が適用されるので海外で得た運用益や譲渡益は日本の課税対象になりません。
この税制が、富裕層の海外移住を加速させています。移住は少し不安だという場合にはオフショア地域に法人を設立するという方法もあります。
タックス・ヘイブン対策税制の対象になるので無税というわけにはいきませんが、所得を分割することで税率を抑える事ができます。また海外法人所得分は日本の住民税を回避できます。
ただし信用のおける専門家に依頼しなければなりませんからその経費も念頭に入れなければなりません。方法が複雑で大掛かりになるほどに、節税コストが上がってしまいます。
地味ですが基本的な① 優遇税制のある金融商品、②「みなし外国税額控除」が適用される債券、③「みなし経費、実費以外の経費」が認められている投資方法、④ 損失が所得控除対象になる投資方法--などをくまなくチェックする必要があります。
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